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    失われた20年の重み

    2017.05.14 Sunday

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    JUGEMテーマ:新書

     

     

    GWも終わって、早いもので一週間が過ぎました。皆さんは、いかがお過ごしですか?

    かく言う自分は、ネモフィラの群生で有名なひたち海浜公園まで足を伸ばし、久し振りの休暇を楽しみました。

    おかげで、読書が少しなおざりになってしまった感も…それでも念願の景色に出会えたことは、大きな収穫でした。

     

    この長期休暇の前に、気になった新刊を数冊書店で見かけました。今回ご紹介する書籍も、そのうちの一冊です。

    かねてより経済と哲学、そして元々興味を持っている政治と歴史のうちいずれかは、ローテーションで読み続けて

    います。特に経済に関しては、格差の拡大と日本経済の不透明な先行きもあって、強い関心を持っています。

     

    以下でご紹介する「日本経済入門(講談社現代新書)」の著者である野口悠紀雄氏は、「超勉強法」をはじめと

    したシリーズで知られる経済学者です。元大蔵官僚でありながら、理系出身という異色の経歴も注目されました。

    個人的に共感する部分が少なくないこともあり、フォローしている経済学者のお一人です。

     

    アベノミクスによる日本経済の再生は、明らかに大きな壁に直面し、期待された成果にはほど遠いのが現実です。

    異次元の金融緩和による景気浮揚は、日本経済が乗り越えなければならない構造転換と少子高齢化の波間に漂って

    いる印象を強く持っていました。自分のそうした感覚が、間違いではなかったことを確認する結果となりました。

     

     

    著者は本書で日本経済低迷の原因が、主に以下の点にあると述べています。

     

    ■日本の製造業が、新興国と比較して競争力を失って久しいにも関わらず、未だに製造業が日本の産業の中心で

     あると認識され続けている点。

    ■90年代以降、先進国の産業はイノベーションを通じてITへシフトして成長を実現している一方で、日本は

     抜本的なイノベーションを起こすことができず、ITシフトを未だに苦手としている点。

    ■未曽有の少子高齢化により、深刻な労働力不足と社会保障費の増大、医療・介護従事者の急増が見込まれている

     にも関わらず、それに対応する政策の実現と雇用環境の改善が図られていない点。

    ■資源価格の変動による物価の下落で得た莫大な利益を、十分に活かすことができず、デフレの真の原因を直視

     できていない点。

     

    より簡潔にまとめると、「過去の成功体験を引きずった思考が、日本経済の真の姿を把握することを妨げているが

    故に、世界の経済的潮流であるIT・サービス化に乗り遅れ、経済成長を逸している。そのため、日本人の所得は

    下がり続けて、格差が拡大し、進行する高齢化による負担をより深刻にしている。」というところでしょうか。

     

    確かに、歪んだ経済成長への信仰や規制緩和の推進は、格差の拡大を助長することもあり、懸念を感じています。

    ただ、日本経済は明らかにITイノベーションの波から取り残され、産業構造のシフトが実現できていたら享受

    できたかもしれない利益を失っていることは、成長を実現している国を見れば明らかだと思わざるを得ません。

     

    その点では、著者の分析は非常に的を射ており、私の頭の中もかなりスッキリ整理されたと思います。

    第一章の経済指標の説明は、専門的な内容となることもあり少し難しいのですが、それ以降の章については、

    比較的スムーズに読み進められました。帯にあるコメントは、あながち大げさではないと思います。

     

    続編として「世界経済入門」の構想も進んでいる模様なので、今からそちらの内容にも期待しています。

    経済分析には、様々な学者が思想や主観を交えて論じることが多いのですが、著者は基本的なデータをしっかり

    踏まえて分析しており、その点でも信頼できる内容だと思います。ぜひ一度、ご覧頂くことをお薦めします。

     

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